「十割(とわり)はボソボソして切れやすい」という言説は、完全に過去のものとなった。近年の製粉技術の進化は目覚ましく、摩擦熱を極限まで抑える石臼の回転制御や、ミクロン単位での粒度調整が可能なマシンが次々と現場へ投入されている。
だが、テクノロジーが進化すればするほど、最後の勝負を決めるのは職人の手のひらの感覚だ。その日の湿度、粉の温度、加水する水のわずか数ミリリットルのブレ。機械が引き出した素材のポテンシャルを、人の手が生きた麺へと昇華させる。伝統とテクノロジーが敵対するのではなく、互いを高め合う共犯関係を築いたことで、かつてない弾力と香気を持つ麺が全国のカウンターで生み出されている。