峰温泉大噴湯の歴史は、今から100年近く前の大正15年(1926年)11月22日に遡ります。地元で土地の開墾を行っていた稲葉時太郎氏が温泉を掘削していたところ、突如として轟音とともに地下から激しい大噴出が発生しました。
当時の記録によると、噴き上がった熱湯の高さは約50メートルに達し、天を衝くその光景は近隣住民を驚愕させたと伝えられています。以来、約1世紀にわたり一度も枯れることなく自噴を続けており、河津町内の数多くの旅館や公共施設、一般家庭へ豊かな湯を送り届ける大動脈の役割を果たしてきました。
人工的なポンプで汲み上げる動力泉が大半を占める現代において、地下の地熱エネルギーとマグマの圧力のみで地表へ噴き出し続ける自噴泉は、全国的にも極めて希少な存在です。大正ロマンの風情を残す石造りの囲いや、長年湯花が付着して赤褐色に変色した噴出孔の佇まいに、伊豆の大地が秘めた力強い生命力を実感できます。