被害が確定した直後、井出氏の手元に残されたのは底をついた通帳と数千万円にのぼる借金の山でした。絶望の淵に立たされた彼女を救ったのは、半世紀以上にわたって培ってきた「漫画家としての矜持」でした。「騙された恥を抱えて死ぬくらいなら、すべてを赤裸々に描いて世の中に警告を残したい」という強い決意のもと、筆を執ったのです。
そうして誕生したノンフィクションコミックが『毒恋〜毒もすぎれば恋となる〜』です。作品内では、甘言に惑わされていく生々しい心理描写、送金を急かす犯人グループとのメッセージのやり取り、家族との壮絶な衝突、そして目を覚ました瞬間の絶望と再起が一切の自己保身なく描き出されています。
この実話漫画は電子コミック配信プラットフォームや単行本で大きな反響を呼び、SNSやレビューサイトでは「被害者のリアルな心理が痛いほど伝わる」「誰もが当事者になり得ると実感した」といった共感と賞賛の声が集まりました。過ちを隠さずコンテンツとして昇華させるプロ根性は、クリエイター界隈のみならず幅広い世代から再評価を受ける原動力となっています。