ネット上の園芸コミュニティや知恵袋、SNSを観察すると、「ジベレリン処理をしたのに種が残っていた」「実がボロボロと落ちてしまった」という嘆きの声が後を絶ちません。現場で多発する種無しぶどう失敗の原因を分析すると、共通する落とし穴が浮き彫りになります。
「満開の日を完全に見誤っていた。房の一部の花が咲いた段階を満開だと思い込んで1回目の処理をしてしまい、半分以上の粒に種が入って硬い実になった」(40代・家庭菜園愛好家の手記より)
ぶどうの花には花びらがなく、開花するとキャップ状の花冠が外れて雄しべと雌しべが露出します。「満開」とは、房全体の約70〜80%の花冠が取れた瞬間を指します。1日単位で状況が変わるため、観察を怠って2日早く処理したり2日遅れたりするだけで、花粉が受精して有核化してしまうのです。
また、天候リスクの軽視も目立ちます。ジベレリンは植物の組織に浸透するまでに一定の時間を要します。処理後数時間以内に雨に降られると薬液が流れ落ち、効果が消失します。逆に、炎天下の昼間に作業を行うと、薬液が急速に蒸発してぶどうジベレリン濃度が局所的に急上昇し、果皮の褐変や花軸の硬化といった薬害を引き起こします。処理は必ず「曇天の日」か「風のない穏やかな朝夕」に行うのが現場の鉄則です。