彼女の代表作であり、劇場アニメ化も果たした『かがみの孤城』の衝撃から月日が流れた。あの時、学校に行けない子どもたちの救いとなった温かい眼差しは、本作においてより複雑で成熟した形へと進化を遂げている。今回のターゲットは、かつて子どもだった、そして今は社会の荒波に揉まれている大人たちだ。
十代の繊細な心の揺れ動きを描く名手としての手腕はそのままに、大人の社会に潜む欺瞞や孤独を切り取る解像度が圧倒的に増している。作家としてのキャリアを重ねるごとに深みを増す表現力に、古参のファンからも驚きの声が上がっている。