中森明菜『Fin』歌詞の意味と深層|松本隆が仕掛けた映画的演出

中森明菜『Fin』歌詞の意味と深層|松本隆が仕掛けた映画的演出

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この詩的な世界観に圧倒的な立体感を与えたのが、作曲を担当した佐藤健のメロディラインである。マイナーキーをベースにした静かでおしゃれなメロディの運びは、80年代半ばのエレガントな歌謡曲の頂点を示している。

前作までの爆発的な声量を前面に押し出すスタイルから一転し、今作で中森明菜が見せたのは「引き算の美学」だった。ウィスパーボイスに近い低音域の囁きと、サビで見せる切ないハイトーンの対比。楽曲の展開に合わせて揺れ動く歌唱表現は、単なる歌唱力を超えた女優的なアプローチであり、楽曲のストーリー性を極限まで高めている。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。