画期的な発明として導入が進んだサニスタンドですが、わずか20年後の1971年(昭和46年)に製造終了を迎えました。普及が定着せず急速に消えていった背景には、利用者の心理と日本のトイレ環境における複数の障壁が存在していました。
最大の要因は「姿勢の難しさと恥ずかしさ」です。中腰姿勢を維持するのは筋力的な負担が大きく、着衣の裾を抑えながら用を足す動作は非常に窮屈でした。また、男性用トイレのようにドアのない空間に並べて設置されたケースも多く、プライバシーを重視する女性心理に受け入れられませんでした。
さらに、女性の排泄にはトイレットペーパーの使用が不可欠ですが、サニスタンドの初期型は紙を流すと配管が詰まりやすい構造でした。使用済みペーパーを入れる汚物入れの設置や清掃の手間が増え、現場の衛生管理面でも課題が噴出したのです。
やがて1970年代に入ると、個室型の水洗和式便器や清潔な洋式便器が急速に普及し、サニスタンドはその役目を終えて市場から姿を消しました。