動物園で公開されるゾウの赤ちゃんは愛らしい姿で来園者を魅了しますが、そのスケールは誕生の瞬間から規格外です。母親の胎内で過ごす妊娠期間は哺乳類最長の約21〜22ヶ月(約660日)におよび、母胎でじっくりと育て上げられた結果、出生時の体重はすでに約90〜120kgに達します。これは大人の成人男性1〜2人分に相当する重量です。
国内の動物園(東山動植物園や市原ぞうの国など)の飼育日誌によると、誕生直後の子ゾウは生後わずか数時間で自力で立ち上がり、母親の母乳を飲み始めます。母乳の栄養価は極めて高く、授乳期の子ゾウは1日あたり約1〜1.5kgという驚異的なペースで体重を増やしていきます。生後1年を迎える頃には体重が300〜400kgを突破し、わずか数年で乗用車並みの重さへと急成長を遂げます。
外敵の多い自然界において、肉食獣の捕食対象になりやすい幼少期をできる限り早く脱するため、ゾウは進化の過程で「最初から大きく産み、短期間で巨大化させる」という繁殖戦略を獲得したと考えられています。