野村昭子さんの演技の根底にあるのは、名門・劇団俳優座で培われた確かな演技力です。戦後の新劇界で実力を磨いた彼女は、やがてテレビへと活動の場を広げ、個性派女優としての地位を確立していきました。
特にサスペンスドラマの金字塔『家政婦は見た!』シリーズにおける大沢家政婦紹介所の会長・大沢キヌ役は、彼女のハマリ役として今も強く記憶されています。主役の市原悦子さんとは劇団俳優座時代からの長年の旧知の仲であり、二人が繰り広げるテンポの良い掛け合いは、作品の大きな名物となりました。
テレビドラマ業界において、二人が見せた阿吽の呼吸は唯一無二のものでした。互いの演技スタイルを知り尽くした旧友同士の共演は、サスペンスの緊張感の中に独特の温かみとユーモアを吹き込み、作品の人気を盤石なものにしたのです。