滋養強壮系の漢方薬を選ぶ際、最も混同されやすいのが補中益気湯 十全大補湯 違いです。どちらも深刻な疲労倦怠感に用いられる名方ですが、ターゲットとする病態には決定的な違いがあります。
見極めの最大のポイントは「胃腸の弱さ」か「全身の枯渇(血虚)」かという点です。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):「気虚(エネルギー不足)」が主症状。胃腸が弱く、食欲がない、食後に強い眠気やだるさが襲う、手足がだるい、声が小さい、まぶたが重いといった消化器系の機能低下を伴う疲労に最適です。
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):「気虚」に加えて「血虚(栄養・血液不足)」が合わさった「気血両虚」が対象。貧血気味、皮膚がカサカサして乾燥する、手足が極度に冷える、髪が抜ける、術後や大病で衰弱しきっているといった全身の消耗状態に処方されます。
注意したいのは、十全大補湯には地黄(じおう)という胃にもたれやすい生薬が含まれている点です。胃腸が弱っている人がいきなり十全大補湯を飲むと消化不良を起こす恐れがあるため、まずは補中益気湯でお腹の力を取り戻すのが漢方治療のセオリーとされています。