ハルカ・グレイシアという傑出したキャラクターを生み出した土壌には、制作会社サテライトと河森正治総監督が仕掛けた挑戦的なプロジェクトの存在があります。フランスのクリエイターであるロマン・トマ氏を美術監督・メカデザインに迎え、日仏の才能を融合させた本作は、当時のアニメ界において極めて革新的な試みでした。
ナイキとのコラボレーションや、ストリートカルチャーをロボットアクションに持ち込む試みなど、アニメ『バスカッシュ!』の評判は「時代を先取りしすぎた怪作」として語られることが少なくありません。作画カロリーが極限まで注ぎ込まれたビッグフットの跳躍描写や、カラフルで退廃的な街並みのビジュアル表現は、現在のCGアニメ全盛期に見返しても強烈な個性を放っています。
商業的なセールス面では賛否が分かれたものの、クリエイティブの実験場として遺した功績は計り知れません。そして、その極度に尖った世界観の中で、物語の牽引役として視聴者を画面に引き戻し続けたのがハルカという存在でした。彼女のキャラクターデザインと活き活きとした芝居は、難解になりがちなSF設定をエンターテインメントとして成立させるための重要な架け橋だったといえます。