読者の間で「フォスかわいそう」という声が絶えないのは、フォスが払わされた犠牲の大きさが常軌を逸しているためです。硬度三半という脆さゆえに、戦う力を求めたフォスは、自らの身体の一部を次々と失っていきます。
脚を失って「アゲート(瑪瑙)」へ、両腕を失って「金合金」へ、そして頭部を失って親友であった「ラピスラズリ」の頭部を移植されるなど、肉体の大部分を他者の素材で継ぎ接ぎされた異形へと変貌しました。宝石たちにとって肉体は記憶の保管場所でもあるため、体を失うたびに大切な記憶や自分自身のアイデンティティすらも剥ぎ取られていきます。
さらに悲劇的なのは、仲間たちを救いたい一心で月へと赴いた行動が、地球に残った宝石たちから「裏切り」とみなされた点です。最終的にフォスは、かつて愛した仲間たちから粉々に打ち砕かれ、220年もの間、頭部と胴体をバラバラにされたまま土中に埋められるという、想像を絶する孤独と拷問を味わうことになりました。