「歴代1位・白鵬の圧倒的な45回に迫る力士は一体誰なのか?」という問いは、現代の大相撲ファンの最大の関心事と言えます。結論から言えば、現在の角界において45回という記録に迫る力士が現れる可能性は極めて低いと判断せざるを得ません。その背景には、単なる個人の実力差だけでなく、相撲界全体の勢力図や構造的変化が存在します。
現在土俵に上がる力士の中で、最も優勝回数を重ねているのは第73代横綱・照ノ富士の10回です。両膝の半月板損傷や糖尿病といった絶望的な逆境を乗り越え、序二段まで転落しながら横綱まで這い上がった歩みは、大相撲史に残る奇跡と称賛されています。しかし、満身創痍の身体で土俵を務める照ノ富士にとって、毎場所土俵に上がり続けること自体が過酷な挑戦であり、ここから白鵬の背中を捉えるのは現実的ではありません。
さらに視野を広げると、大関陣や若手実力派の状況も大きな変革期にあります。大関経験者の霧島(優勝2回)や豊昇龍(優勝1回)、若隆景(優勝1回)に加え、新時代の旗手として注目を集める尊富士や大の里といった新鋭が次々と賜杯争いに絡んでいます。しかし、これは裏を返せば「誰が勝ってもおかしくない戦国時代」に突入したことを意味しています。
白鵬が45回もの優勝を積み上げられた要因の一つには、全盛期において朝青龍の引退後にライバル不在の「一強体制」を長期間維持できた点があります。年間を通して15日間を戦い抜く怪我の少なさと頑健な肉体、そして絶対的な精神的支柱が存在していました。対して現在は、上位陣の実力が拮抗し、勝ち星が分散する傾向が顕著です。20代前半から毎年のように年3〜4回のペースで10年以上勝ち続けなければ到達できない45回という数字は、今後数十年にわたって揺るがない絶対的記録として君臨し続ける公算が高いと言えます。