重厚なウッドカウンターとほの暗い照明。本物を追求するオーセンティックバーの主役は、間違いなくカウンターの中に立つバーテンダーだ。彼らは単にカクテルを作る作業者ではなく、酒の歴史と美学を熟知した「夜の職人」である。
例えば、元・日本バーテンダー協会会長であり銀座「スタア・バー」のオーナーでもある岸久氏が仕立てる一杯は、氷の切り出し方一つからグラスの温度まで計算し尽くされている。客とつかず離れずの距離感を保ちながら、その日の気分や体調に合わせた一杯を差し出す技術は芸術の域だ。酒と静かに向き合いたい夜、あるいは思考を深めたい時間には、こうしたバーこそが最高の聖域となる。