自転車の鍵の自力破壊を行う際、多くの人が見落としがちなのが法的・社会的なリスクです。たとえ正真正銘の自分自身の所有物であっても、街頭や駐輪場で工具を使って自転車の鍵をガチャガチャと壊している姿は、周囲の第三者から見れば「明白な自転車泥棒の犯行現場」に他なりません。
特に深夜の住宅街や駅前広場での作業は、通行人による110番通報を誘発します。駆けつけた警察官による職務質問を受ける際、ボルトクリッパーや大型マイナスドライバー、金切りのこ等の工具をカバンから取り出して作業していた場合、軽犯罪法第1条第2号(正当な理由のない隠し携帯の禁止)に抵触する恐れが生じます。業務や正当な目的のない工具携行は厳しく追及される対象です。
さらに、その自転車が自分のものであると客観的に証明できない場合、事態は極めて深刻になります。警察官は防犯登録の照会を行いますが、名義が家族のまま変更されていなかったり、友人から譲り受けたのに譲渡証明書がないまま防犯登録を変更していなかったりすると、占有離脱物横領罪や窃盗の容疑で交番や警察署へ任意同行を求められ、数時間の取り調べを受けるリスクすらあります。路上での力任せな作業には、単なる手間以上の代償が潜んでいるのです。