インターネット上の掲示板やSNSでは時折、「元町工場がまた止まった」「クラウンの納期が未定になった」「品質管理に問題があるのではないか」といったセンセーショナルな言説が飛び交います。こうした情報の真偽はどうなのでしょうか。
現場取材と関係省庁の公開資料を照らし合わせると、ネット上の不安の多くは「突発的な事故や品質崩壊」ではなく、「計画的な工程変更や厳格な品質監査に伴うタクトタイム調整」の誤認であることが判明しています。
自動車の製造工程において、特に最新鋭のHEVやBEV、FCEVが混在するラインでは、ソフトウェアの書き換えや新安全基準への適合確認のため、意図的に生産スピードを落としたり数日間の調整停止を挟んだりすることが通例です。しかし、サプライチェーンの末端や下請け企業への納期連絡が伝言ゲームのようにSNSへ流出する過程で、「元町工場が危機的状況にある」という誇張された噂へ変質していった構図が浮かび上がります。
現場の従業員やサプライヤーの間からは、「むしろ昔より品質判定の基準が厳格化されており、わずかでも基準値から外れればラインを止めて根本原因を突き止める姿勢が徹底されている」という声が上がっています。不都合を隠蔽してラインを回し続けるのではなく、「止める勇気」を行使した結果が、外部からは「稼働停止」としてネガティブに受け取られてしまったというのが実態です。