SNSや育児掲示板では、「赤ちゃん返りをするのは普段の愛情が足りないから」「甘やかしすぎた育て方のツケ」といった根拠のない言説が散見されます。しかし、これらの言説は発達科学の観点から見て完全に誤りです。
実態はその正反対であり、「この人ならどんな自分を見せても受け止めてくれる」という親への確固たる信頼関係(基本的信頼感)があるからこそ、子どもは安心して退行行動を見せることができます。本当に親との愛着形成が破綻している場合、子どもは拒絶を恐れて感情を麻痺させ、過剰に手のかからない「良い子」を演じる偽りの自立(アタッチメント障害の兆候)を選択する傾向があります。
したがって、激しいぐずりや理不尽な要求は、親子の絆がしっかりと結ばれている証拠です。「私の育て方が悪かったのではないか」と親が罪悪感を抱く必要は一切ありません。問題は子どもの性格や過去の育児ではなく、今起きている環境の急変に対する適応プロセスの摩擦に過ぎません。