2006年、講談社に持ち込まれた一本の持ち込み原稿があった。絵はお世辞にも美麗とは言えなかったが、そこに描かれた圧倒的な絶望感と熱量に目を奪われた男がいた。それが当時、青年誌部門などで頭角を現し始めていた朴鐘顕だった。他社で門前払いを食らっていた無名の青年・諫山創。その類まれな作家性を信じ抜き、二人三脚で設定を練り上げ、2009年の『別冊少年マガジン』創刊ラインナップの目玉として送り出した。
結果は歴史が証明している。全世界累計発行部数1億部を突破する社会現象となった『進撃の巨人』の躍進は、彼の手腕なしには語れない。その後も『週刊モーニング』の次長として数々の話題作に関わり、出版業界の最前線で誰もが認めるトップランナーとして君臨していた。彼の放つ熱量と作品への嗅覚は、クリエイターたちにとっても唯一無二の羅針盤だったはずだ。