彼女の女優人生を語る上で絶対に外せない存在が、映画監督であり生涯のパートナーとなった新藤兼人だ。二人の出会いは、近代映画協会の立ち上げ期に遡る。芸術上の同志として、そして人生の伴侶として、二人は切っても切れない強い絆で結ばれていた。
しかし、二人の関係は長年にわたり公にできない「秘められた恋」でもあった。新藤には先妻がおり、彼女は長きにわたり陰から監督の創作活動を支え続けた。決して出しゃばらず、撮影現場では一女優として監督の厳しい要求に応え続けた姿勢。二人が正式に婚姻届を出したのは、出会いから実に30年以上が経過した1978年のことだった。単なる恋愛を超え、互いの魂を映画作りに捧げ尽くした壮絶な愛の形がそこにあった。