事件事故を伝える一般紙やテレビニュースでは描かれない組織内情に光を当ててきたのが、長年の裏社会ジャーナリズムだ。危険な現場の肉声を集めて作られるノンフィクション書籍やルポルタージュは、単なる悪党像にとどまらない人間の複雑さを提示してきた。
取材に応じる元組員や関係者の口からは、時として冷徹な組織判断を下す一方で、個人の筋合いを通した者に対しては温かい手を差し伸べる一幕が語られる。暴力という影の社会で生き抜くための過酷な論理と、日本古来的とされる任侠の理念。その相反する要素を巧みに使い分ける人物像が、取材者の記録を通じて記録されている。