高校受験情報サイトや市販の受験案内を開くと、神奈川県立田奈高等学校の偏差値は「38」「39」あるいは「判定不能」と表記されているケースが大半です。この数字だけを切り取ると、「極端に学力水準が低い高校」という短絡的なレッテル貼りがなされがちですが、入試の選考構造を正しく理解しなければ大きな誤解を生みます。
神奈川県教育委員会は、中学校時代に学習課題を抱えたり不登校を経験したりした生徒が、高校で基礎から学び直して自立を目指すための仕組みとして「クリエイティブスクール」を設置しました。田奈高校はこの指定校であり、入学者選抜において学力検査(5教科の筆記試験)を実施していません。調査書の評定(内申点)も数値として直接合否判定の主要点数に組み込むのではなく、面接や自己表現検査、中学校での学習意欲を多角的に評価する方式を採用しています。
一般的な公立高校のように「筆記試験で何点取れるか」で合否を決めるわけではないため、大手模試が算出する合格可能性偏差値は意味をなしません。過去10年以上の偏差値推移を見ても、数値自体が変動しているのではなく、試験制度そのものがペーパーテストの偏差値競争から完全に独立した設計になっているのが実態です。