駅周辺の細い路地に足を踏み入れると、元長屋を改装したクラフトビールバーや、小さな焙煎所を構えたスペシャリティコーヒー店がぽつりぽつりと顔を覗かせる。移住してきた若い世代のクリエイターたちが、下町の風情をリスペクトしながら新しいカルチャーを植え付け始めているのだ。
しかし、ここで起きているのは急速なジェントリフィケーション(高級化)による旧住民の締め出しではない。新旧の店舗が互いに挨拶を交わし、古くからの乾物屋が新しいカフェに食材を卸すといった、緩やかな共存関係が模索されている。街の泥臭さを消し去るのではなく、その荒削りな魅力を活かしたまちづくりの試みが、新開地独自のスタイルとして定着しつつある。