春の訪れとともに中目黒駅周辺は祝祭の渦に巻き込まれる。目黒区観光協会が主導する今年の夜桜ライトアップは、開花ピークに合わせて日没から20時までの点灯が予定されている。ぼんぼりの柔らかな灯りが川面に反射し、夜の帳が下りるにつれて幻想的な桜のトンネルが浮かび上がる光景は息を呑む美しさだ。
しかし、駅前の「別所橋」や「日の出橋」周辺は夕刻を迎えると身動きが取れないほどの過密状態に陥る。地元で暮らすギャラリーオーナーは、混雑を避ける鑑賞術をこう明かしてくれた。「観光客の多くは中目黒駅から下流へ向かいますが、実は東急田園都市線の池尻大橋駅から中目黒方面へ下るルートこそが一番の狙い目です。上流エリアは道幅にゆとりがあり、住宅街の静寂のなかで純粋に花と向き合えます」
さらに究極の静寂を求めるなら、午前6時30分から8時前までの早朝散策がおすすめだ。清掃作業車が通り過ぎたばかりの澄んだ空気のなか、朝日に照らされてきらめく桜を独り占めできる至福の時間がそこにある。