『この恋あたためますか』は、漫画や小説を原作に持たない完全オリジナル脚本(神森万里江、青塚美穂)の作品です。物語の根底にあるのは、「挫折を経験した若者が、ものづくりを通じて自己肯定感を取り戻していく再生のドラマ」です。
アイドルグループ「Cupid of Heart」を不本意な形でクビになり、コンビニ「ココエブリィ」で無気力なアルバイト生活を送っていた井上樹木(森七菜)。彼女の唯一の生きがいは、趣味であるコンビニスイーツの批評をSNSに投稿することでした。そんな樹木の並外れた味覚と鋭い批評眼に目を留めたのが、業界最下位に甘んじるココエブリィの再建を託された元外資系エリートの新社長・浅羽拓実(中村倫也)でした。
「コンビニスイーツ改革」を掲げる浅羽によって商品部スイーツ開発専門スタッフへと抜擢された樹木は、パティシエの新谷誠(仲野太賀)とバディを組み、新作シュークリームの開発に挑みます。しかし、そこには浅羽の元恋人であり商品部スイーツ課のエリート社員・北川里保(石橋静河)の存在がありました。
本作の人間関係を複雑かつ魅力的にしたのは、単なる恋愛の駆け引きではなく、「仕事へのプロ意識」と「相手の幸せを願う思いやり」が交錯する緻密な心理描写です。
- 井上樹木(演:森七菜):天性の味覚を持つ元アイドル。浅羽の厳しくも的確な言葉に背中を押され、次第に彼へ惹かれていく。
- 浅羽拓実(演:中村倫也):結果至上主義の冷徹な経営者に見えて、内面には孤独と温かい情熱を秘める。樹木のまっすぐな情熱に感化されていく。
- 新谷誠(演:仲野太賀):樹木の良き理解者であり開発の相棒。樹木への一途な恋心を抱きつつも、彼女の幸せを最優先に考えてしまう「全方位型のいい奴」。
- 北川里保(演:石橋静河):浅羽の元恋人で優秀な商品プランナー。樹木の才能を認めつつ、浅羽との復縁と仕事の成功の間で葛藤する大人の女性。
- 神子亮(演:山本耕史):ココエブリィ専務。浅羽の合理主義的な改革方針に反発し、社内政治で対立を深める。
- 一岡智子(演:市川実日子):元スイーツ課課長。伝統的な現場主義を重んじ、浅羽と対立するも職人たちの想いを守り抜く。
- 上杉和樹(演:飯塚悟志 / 東京03):樹木が働く店舗の温厚な店長。個性派アルバイトたちを束ねる精神的支柱。
- スーちゃん / 李思涵(演:古川琴音):樹木のルームメイトで漫画家志望の中国人留学生。樹木の恋路を誰よりも応援する親友。
社内コンペや組織内の権力闘争、そして4人の想いが複雑に絡み合い、物語は予想もつかないテンポ感で展開していきました。