この病院の歴史を語る上で、名誉ホスピス長の柏木哲夫氏の存在を外すことはできない。日本の緩和医療の礎を築いた同氏の思想は、現在も一般財団法人日本バプテスト連盟医療団の根底に力強く息づいている。日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団などとも連携し、単に痛みを緩和する医療にとどまらず、患者と家族の精神的・社会的な苦痛を包括的に支えるケアの質は、国内でも別格の評価を受け続けている。
現在のホスピス・緩和ケア病棟は、従来の終末期医療のイメージを大きく塗り替えている。早期からの緩和ケア介入が積極的に推奨され、抗がん剤治療と並行した症状コントロールや、一時的なレスパイト入院の受け入れ体制も拡充された。プライバシーと安らぎを極限まで追求した病室環境と、多職種チームによる手厚いサポート体制は、過密な都市型医療のなかにあって際立つ静謐なオアシスとなっている。