アセクシャル(日本語では無性愛とも呼ばれます)の核となる定義は、「他者に対して恒常的に性的な惹かれ(性的欲求)を抱かない性的指向」です。英語圏では親しみを込めて「Ace(エース)」と略称されることも多く、個人の意志や我慢による禁欲とは明確に区別されます。
混同されやすい点として、自己完結的な性欲(自慰行為など)の有無と、他者に向けられる性的な欲求は別次元であるという事実が挙げられます。アセクシャルを自認する人の中にも、生理現象としての性欲処理を行う人は存在します。問題はあくまで「特定の誰かと性行為を行いたいという欲求が向かうかどうか」にあります。
気になるアセクシャルの割合について、性科学研究の金字塔とされるカナダのブロック大学アンソニー・ボガート教授の調査データ(英国の大規模住民調査を分析した研究)では、全人口の約1.0%が存在すると報告されています。国内の調査機関やシンクタンクによる最新データにおいても、セクシャルマイノリティ全体の中で概ね0.8%〜1.5%前後の出現率が観測されており、決して極めて稀な例外ではなく、学校の1学年やオフィスのフロアに複数人存在しても不自然ではない統計的規模を示しています。