任天堂が2022年10月1日付で実施した1株から10株への株式分割は、市場関係者と個人投資家の双方に大きな衝撃を与えました。長年、同社は日本株市場を代表する「値がさ株」として君臨しており、1単元(100株)を購入するためには最低でも500万〜600万円規模の資金を準備しなければならず、一般の個人がポートフォリオに組み入れるには極めてハードルが高い状態が続いていたためです。
会社側が発表した公式の分割理由は「投資単位あたりの金額を引き下げ、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ること」でした。背景には、東京証券取引所が上場企業に対して要請していた「望ましい投資単位(5万円以上50万円未満)」への適合という市場構造改革への対応があります。東証プライム市場の主力銘柄として、機関投資家だけでなく幅広い個人株主を呼び込み、株主基盤を強固にしたいという経営戦略が合致した結果の決断でした。
この投資単位の引下げは、まさに市場の要望に応える形で実現し、単元株の購入に必要な資金が一気に10分の1へと縮小しました。ゲームファンである若い世代や個人投資家が、日常的な資産形成の一環として任天堂株を直接保有できる環境が整った瞬間です。