「世界一のサーカス団」と耳にしたとき、大半の現代人が真っ先に思い浮かべるのはシルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)でしょう。1984年にカナダ・ケベック州の火吹き大道芸人たちによって立ち上げられたこの集団は、従来のサーカスの代名詞であった「動物の猛獣ショー」を完全に排除し、演劇、生演奏の音楽、コンテンポラリーダンス、照明美術を融合させた「ヌーヴォー・シルク(新サーカス)」を確立しました。
シルク・ドゥ・ソレイユの観客動員数は、累計で3億6,000万人以上に達しています。コロナ禍に伴う興行停止で一時破産申請に追い込まれる悲劇を経験したものの、見事な経営再建を果たし、ラスベガスの常設公演や世界ツアーを再開させました。最盛期のシルク・ドゥ・ソレイユの売上推移をたどると、年間売上高は10億ドル(約1,500億円超)を計上し、サーカス 規模 ランキングにおいて経済的・興行的な頂点に君臨し続けています。同社は『コルテオ』『ドラリオン』『オー』といったメガヒット作に加え、映像・映画制作部門「シルク・ドゥ・ソレイユ・イメージ」を通じて全世界にコンテンツを供給するなど、単なるサーカス団を超えた世界最大のライブエンタメ企業となりました。
しかし、サーカス愛好家や伝統的なサーカス関係者の間では、「シルク・ドゥ・ソレイユは演劇・ミュージカルに近く、純粋なテントサーカスの世界一とは呼べないのではないか」という議論が根強く存在します。サーカスが本来持っていた「旅芸人による天幕(ビッグトップ)巡業」という文脈においては、まったく別の巨人が「サーカス世界一」の看板を掲げています。