大衆メディアにおいて、「社長の娘」は長らく愛憎劇やシンデレラストーリーの象徴だった。高級ブランドに身を包み、優雅な乗馬やヴァイオリンを嗜む――こうしたアイコン化されたイメージは、昭和から平成にかけてのテレビドラマや少女漫画によって強固に作り上げられたものだ。
しかし、2020年代半ばを過ぎた現代において、そうしたステレオタイプは崩壊しつつある。海外留学で修めてきたMBAやデータサイエンスの知識を武器に、親の経営する企業に平社員やアナリストとして入社し、現場の泥臭い泥沼改革からスタートするケースが急増しているからだ。SNS上で流れてくる「港区女子」的な演出と、実際の経営現場で数字と格闘する令嬢たちの日常には、大きな歪みとギャップが存在する。