多くの保育士や教員が陥りがちな最大の誤解が、「保育園や幼稚園での使用は私的利用の範囲内である」という思い込みです。著作権法第30条に規定される「私的使用のための複製」とは、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」での利用に限定されています。施設として不特定多数の児童を預かり、組織的に運営されている認可保育所、幼稚園、認定こども園での利用は、法解釈上「家庭内に準ずる限られた範囲」には該当しません。
教育機関における著作物の例外利用を定めた「著作権法第35条(学校その他の教育機関における複製等)」についても注意が必要です。幼稚園や小学校などの学校教育法上の学校は対象に含まれるものの、「主として営利を目的としない教育機関」における「授業の過程における利用」という厳格な要件が課されます。さらに、私立の認可外保育施設や株式会社立の保育園については、第35条の適用範囲を巡って法的な議論が分かれており、一律に自由利用が認められているわけではありません。
特に危険視されているのが、保育園の日常を保護者に向けて発信する公式ブログやInstagramアカウントへの写真投稿です。保育室の壁に貼られた『きんぎょがにげた』の模倣キャラクターが写真に写り込み、全世界に向けて配信された場合、著作権法第23条に規定される「公衆送信権」の侵害が成立します。園のブランディングや広報活動が、一瞬にして園のコンプライアンス違反事件へと転落する火種となっているのです。