糖質管理の世界において、近年すっかり定着した概念が「ロカボ(適正糖質)」です。一般社団法人「食・楽・健康協会」が提唱するロカボは、極端な糖質排除ではなく、おいしく楽しく適正な糖質量を摂取することを提唱しています。
一般に認知されているようで誤解の多いロカボ食品の基準は、以下の数値設定に基づいています。
- 1食あたりの糖質量:20g以上、40g以下
- 1日の間食(スイーツ等):10g以下
- 1日の総糖質量:70g以上、130g以下
ここで重要なのは、「糖類」の制限ではなく「糖質」の絶対量で規定されている点です。ネット上の情報では「ロカボマークがあればどれだけ食べても太らない」「糖質は少なければ少ないほど良い」という極端な言説が散見されますが、これは明確な誤謬です。
極端な糖質排除(1日20g未満などを長期間継続する超低糖質食)を行うと、エネルギー不足を補うために自らの筋肉組織が分解(糖新生)され、基礎代謝の低下を招きます。さらに、炭水化物を極限まで削る過程で、食物繊維の摂取量まで激減し、便秘や腸内細菌叢の乱れを引き起こす事例が後を絶ちません。
世界的な栄養学の知見や公的な指針においても、炭水化物を単なる「悪者」として切り捨てる潮流は見直されつつあります。重要なのは、精製された糖類(白砂糖や異性化液糖など)の摂取を厳格に控えつつ、玄米や大麦、海藻、野菜などから「質の高い炭水化物と水溶性・不溶性食物繊維」を計画的に摂取することです。ロカボ基準が示す「1日70〜130g」というレンジは、極端な代謝負荷を避けつつ、インスリンの暴走を食い止める現実的な防衛線と言えます。