株式投資で銘柄を選ぶ際、あるいは転職先として企業の安定性を測る際、剰余金をどのように評価すべきでしょうか。財務分析のプロフェッショナルが用いる、明確な選別基準を提示します。
こんな企業は高く評価できる(安心・投資対象として有望)
- 営業キャッシュフローの裏付けがある利益剰余金の積み上げ:単に帳簿上の利益剰余金が多いだけでなく、資産の部に現預金や換金性の高い資産がバランスよく存在し、配当や新規事業への機動的な投資が行われている企業。
- 還元と投資のポリシーが明確な企業:「DOE(純資産配当率)3.5%以上」や「総還元性向70%」など、積み上がった剰余金をどのルールで株主と事業成長に振り分けるかを数値でコミットしている企業。
こんな企業は慎重になるべき(危険・警戒が必要)
- 「その他資本剰余金」からの不自然なタコ足配当:本業の稼ぎである利益剰余金が足りないにもかかわらず、見栄えを保つために資本剰余金を削って高配当を維持している企業は、近い将来の減配リスクが極めて高い。
- 利益剰余金が急激に減少している企業:売上高が維持されていても、毎期のように特別損失を出して利益剰余金を切り崩している企業は、ビジネスモデルの寿命が尽きかけているサイン。
単に「剰余金が多い=良い会社」「剰余金が少ない=ダメな会社」という短絡的な二元論に陥ってはいけません。資本効率の観点からは、剰余金を過剰に溜め込んで何の手も打たない企業は「怠慢」と評価され、適度に投資と還元へ回す企業こそが市場で高く評価される時代に入っています。