インターネット上には「メガネの度数を入力するだけでコンタクトの度数がわかる自動計算ツール」が数多く公開されています。手軽で便利に見えるこうしたツールですが、臨床現場の視点から見ると決定的な盲点が2つ存在します。
第一の盲点は、「涙液レンズ効果」の無視です。ハードコンタクトレンズはもちろん、ソフトコンタクトレンズであっても、角膜とレンズの隙間に形成される涙の層が一種のレンズとして機能します。この涙液層が屈折力に影響を与えるため、純粋な幾何光学の計算式だけで弾き出した度数と、実際に装用した際の網膜上の結像には微細な誤差が必ず生じます。
第二の盲点は、「装用者のライフスタイルに合わせた過矯正・弱矯正の処方意図」です。現代人の視生活において、一日中パソコンやスマートフォン画面を見つめるデスクワーカーの場合、遠くが1.2まで見える完全矯正度数のコンタクトを装用すると眼筋に甚大な疲労を与えます。そのため、眼科医はあえて遠方視力を0.8〜1.0程度に抑える「意図的な低矯正処方」を行うことが一般的です。
眼鏡処方箋に書かれた度数が「遠くをしっかり見るための度数」であった場合、それを機械的に換算してコンタクトを購入すると、長時間のデスクワークに全く耐えられないレンズが出来上がってしまうのです。