かつて編み物といえば、冬場におばあちゃんがコタツで編むもの、あるいは特定の愛好家だけの趣味というイメージが強かった。しかし、その固定観念はここ数年で完全に崩れ去った。特に20代から30代のビジネスパーソンや学生の間で、あえてデジタルデバイスから離れて手元に集中する「スロー・クラフト」のトレンドが急速に拡大している。
1日中ディスプレイと向き合い、絶え間なく届く通知に追われる生活。そこから抜け出すための処方箋として、編み物が選ばれている。一定のリズムで針を動かす作業は、心理学でいう「フロー状態」を生み出しやすく、ストレス軽減や精神安定に絶大な効果を発揮する。あるIT企業では、福利厚生の一環として「マインドフルネス編み物ワークショップ」を取り入れたところ、即日満員になるほどの人気ぶりを見せたという。