本当に攻撃を受けているのか、それとも環境的な異常電磁波が存在するのかを確かめるために、自身で計測を行うこと自体は合理的です。しかし、電磁波測定器の調査方法には初歩的かつ決定的な落とし穴が潜んでいます。
ネット通販で数千円程度で販売されている安価な多機能測定器は、校正(キャリブレーション)が一切行われておらず、指先の静電気や室内の配線、スマートフォンの一時的な通信パルスに過剰反応して警告音を鳴らし続けます。当事者はそのアラーム音を聞いて「やはり攻撃されている!」とパニックに陥りますが、これは測定器の精度不良による典型的な誤認です。
客観的な実測を行う場合は、以下の基準を遵守しなければなりません。
- 信頼性の高い機器の選定:ドイツのギガヘルツ・ソリューションズ社や米国トリフィールド社などの国際規格に準拠した広帯域測定器を用い、低周波磁界(送電線・家電)と高周波電磁界(通信電波)を明確に分けて測定する。
- ベースラインの把握:総務省が定める電波防護指針において、一般環境における高周波電力束密度の基準値は概ね1mW/cm²(10W/m²)と定められています。通常の都市型住宅で計測されるWi-Fiや基地局からの電波は、この基準値の1万分の1から10万分の1程度に過ぎません。
また、電磁波対策と防御方法として広く出回っている電磁波シールド遮蔽グッズにも厳重な注意が必要です。部屋の窓にアルミ蒸着シートを貼ったり、シールドカーテンで囲ったりする行為は、外部からの電波を反射する一方で、室内にあるスマートフォンや家電の電波を内部に乱反射させ、かえって局所的な電界強度を高めてしまう事態を引き起こします。さらに、過度な遮光や換気不足は室内のカビや二酸化炭素濃度の上昇を招き、頭痛やだるさを悪化させる二次被害を生み出します。