近年、東京の飲食業界ではストリートフードの再解釈やハイエンド化が著しい。その先頭を走るのが、世田谷区・三軒茶屋に店舗を構えるこの一軒である。従来のメキシコ料理といえば、チーズがたっぷりかかったカジュアルなタコス店が主流だった。しかし、ここが提示するのは、食材の背景にある歴史や農家への敬意までをも一皿に込めたプレミアムな食体験だ。
店内は無駄を削ぎ落とした洗練された空間でありながら、まるで上質な割烹のような緊張感と温かみが同居している。カウンター越しに繰り広げられる手際の良い調理風景は、訪れた者の期待感を嫌が上にも高めていく。