今注目を集めている 鏑木清方の「幻の傑作」再発見が証明した美人画の真髄と波乱の生涯について、主要な情報をご紹介しています。
鏑木清方が遺した膨大な作品群のなかから、美術史的評価が突出している重要文化財指定作品および代表作を整理・検証します。
作品名 / 制作年指定・所蔵・主要データ描写テーマと時代背景編集部の見解・評価築地明石町
(1927年)重要文化財(2019年指定)
東京国立近代美術館 所蔵明治中期の居留地情緒を残す築地を歩く女性。江木写真館の妻がモデルとされる。近代日本美人画の最高峰。品格と叙情性が完璧に調和した清方の代表的記念碑。新富町
(1927年)重要文化財(2019年指定)
東京国立近代美術館 所蔵新富座のあった芝居街を行く芸妓。雨上がりの情緒と蛇の目傘の構図が秀逸。花柳界の空気感を艶やかかつ清潔に捉えた三部作の一角。江戸歌舞伎情緒の継承。浜町河岸
(1927年)重要文化財(2019年指定)
東京国立近代美術館 所蔵隅田川沿いの浜町河岸を舞台に、夕暮れの川風を受ける若き町娘の姿を描く。下町情緒と市井の生活感を生き生きと描き出した名品。三部作を完結させる重要作。一葉女史の墓
(1902年)代表作(初期)
鎌倉市鏑木清方記念美術館 所蔵若くして世を去った樋口一葉の墓参りを題材にした回想的絵画。文学者への深い追悼と清方自身の文学的感性が如実に表れた初期の傑作。明治風俗十二ヶ月
(1935年)連作代表作
東京国立近代美術館 所蔵失われゆく明治の東京の年中行事と人々の風俗を月ごとに描いた12枚組。歴史的風俗資料としての価値も極めて高く、清方の記憶の集大成と言える連作。
清方の作品は、単なる美術品にとどまらず、関東大震災や東京大空襲によって灰燼に帰した「古き良き東京・江戸の生活文化の精密な視覚的アーカイブ」としてもかけがえのない価値を有しています。