インターネット上の掲示板やSNSでは、音羽山部屋に関して一部の誤解や偏った憶測が散見されます。調査報道の観点から、これら2つの典型的な思い込みについてファクトを整理します。
第1の誤解は、「外国出身親方の部屋だから、指導が放任的あるいは型破りなのではないか」という根拠のない偏見です。事実は正反対と言えます。鶴竜親方は現役時代から「角界屈指の知性派」として知られ、流暢で知的な日本語を操るだけでなく、相撲界の伝統的な作法、神事としての土俵作法、髷(まげ)や着物の着こなしに至るまで、師匠であった元逆鉾の井筒親方から受け継いだ厳格な美意識を忠実に守り続けています。「基本に忠実で、型を重んじる」姿勢は、むしろ生粋の日本人親方以上に求道者的です。
第2の誤解は、「大関霧島が所属しているため、親方と霧島の関係が複雑なのではないか」という邪推です。かつて同門の兄弟弟子であった間柄が「師匠と弟子」という縦の関係に変化したことで、指導のやりにくさがあるのではないかと噂されることがありました。しかし、部屋付き関係者の証言によると、両者の関係は極めて合理的かつプロフェッショナルに保たれています。霧島は親方を「師匠」として絶対的な敬意を払い、親方もまた霧島の自主性を尊重しながら、土俵際での微妙な身体の使い方や精神面でのセルフコントロールに関して横綱経験者ならではのアドバイスを送っています。二人の間にあるのは不協和音ではなく、互いの強みを生かし合う高度なシナジーです。