インフルエンザウイルスは内部のタンパク質の構造によりA型・B型・C型(およびD型)に分類されますが、ヒトの間で毎年のように大規模流行を引き起こすのは主にA型とB型です。両者の最も根本的な違いは「変異の起こりやすさ」と「宿主(感染対象)の範囲」にあります。
A型はヒト以外に鳥や豚などの動物にも感染し、表面にあるヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という突起タンパク質の組み合わせによって100種類以上の亜型が存在します。このためウイルスが頻繁に小変異・大変異を繰り返し、世界的なパンデミックを引き起こす脅威を持っています。一方でB型は基本的にヒトの間でのみ感染が循環し(山形系統とビクトリア系統の2系統)、変異の速度はA型に比べて緩やかです。
感染症サーベイランスの定点報告によると、国内の年間患者数は例年約1,000万人規模に達します。流行初期は感染力の強いA型(H1N1パンデミック09型やH3N2香港型)が全体の8割以上を占め、年明け以降にB型が台頭してくるのが標準的なシーズン推移です。