梶原阿貴の脚本家としての評価を不動のものにしたのが、大崎章監督とタッグを組んだ2015年公開の映画『お盆の弟』です。崖っぷちの映画監督と周囲の人々が織りなす、おかしくも哀しい人間模様を全編モノクロームで描いた本作は、映画関係者から絶賛され、第37回ヨコハマ映画祭において脚本賞を受賞しました。
登場人物たちが口にする「身も蓋もない本音」や「沈黙の気まずさ」をリアルにすくい取るセリフ回しは、多くの映画ファンの心を掴みました。その後も即興劇をベースにした『無限ファンデーション』など意欲作を連発します。
さらに近年、大きな反響を呼んだのが、城定秀夫監督と組んだ『セフレの品格(プライド)』シリーズ(初恋編/決意編)です。人気コミックを原作としながらも、性愛の奥にある孤独や承認欲求、女性の主体性を生々しく描き出し、単なるエロティシズムにとどまらない骨太な人間ドラマへと昇華させました。過激なテーマの中に普遍的な切なさを忍ばせる彼女の構成力は、現代の観客から「痛いほど共感できる」と熱烈な支持を集めています。