うつ病を発症した際に見られる顔面の異変について、多くの精神科医や臨床心理士が共通して指摘するのが「感情の起伏に伴う微小表情(マイクロ・エクスプレッション)の消失」です。健常な状態であれば、他者との会話の中で眉や口元、目の周辺筋が無意識に連動して動きますが、病状の悪化に伴ってその動きが著しく鈍化します。
とりわけ顕著なのがうつ病の目つきの変化です。臨床の場では「焦点が合っていない」「視線が宙を泳ぐ」「瞬きの回数が極端に減る、あるいは異常に増える」といった特徴が報告されています。他者と視線が合っても感情の共鳴が起きにくく、どこか遠くを見つめているような虚無感を漂わせるケースが少なくありません。
さらに、典型的なうつ病の顔つきの特徴として挙げられるのが、全体的な「顔の筋肉の下垂」と「肌の血色の喪失」です。自律神経の乱れや重度の不眠、食欲不振が重なることで、頬がこけ、目元に濃いクマが刻まれ、顔全体が重力に引きずられるかのような沈鬱な印象を与えます。周囲が感じる「なんとなくいつもと違う」という直感的な違和感は、微細な顔面筋の動きの停止によって引き起こされているのです。