お正月の挨拶状やメッセージで使われる「賀詞(がし)」には、相手との上下関係に応じた厳格なヒエラルキーが敷かれています。ビジネスの現場において最もトラブルに発展しやすいのが、この漢字文字数の違いによる敬意の欠落です。
ここで注目すべきは、賀正と迎春の違いと真相です。「賀正」は「正月を祝うこと」、「迎春」は「新春を迎えること」を意味します。いずれも現象を客観的に表現しているに過ぎず、相手に対する敬意やへりくだる言葉(謹んで、恭しく)が含まれていません。歴史的にも2文字の賀詞は、目上の立場の者が目下の者に対して発する簡略表現として用いられてきました。そのため、上司や顧客に対して年賀状やメールで「賀正」と送るのは、知らず知らずのうちに見下したニュアンスを与える重大なマナー違反となります。
対照的に、謹賀新年の正しい意味と使い方を知れば、なぜこれがビジネスで重宝されるのかが理解できます。「謹」は「謹んで(相手を敬い慎み深く)」、「賀」は「お祝いする」を意味し、4文字全体で「謹んで新春のお慶びを申し上げます」という極めて丁寧な敬語構造を完結させています。したがって、目上の人への新年の挨拶には、4文字賀詞を採用するか、「明けましておめでとうございます」という濁りのない敬語文章を用いるのが鉄則です。