2005年の結婚当初、年の差婚の先駆けとして祝福された二人の関係は、世間が信じ込んでいたほど一枚岩ではなかった。市村正親が舞台俳優としての重厚なキャリアを歩む一方、篠原涼子はドラマやCMに引っ張りだことなり、多忙を極める日々が続く。周囲が「完璧な家族」ともてはやす影で、すれ違いは日常の些細な隙間から徐々に、だが確実に広がっていた。
決定的だったのは親権の所在だ。日本の離婚調停において、母親が親権を手放すケースは極めて珍しい。当時、まだ育ち盛りだった2人の息子の親権を市村が持つという合意が公表された瞬間、世論は騒然となった。「なぜ母親が親権を渡したのか」。その異例の決断こそが、直後に噴出する疑惑の火種に油を注ぐことになった。
関係者の証言によれば、別居生活自体はコロナ禍の感染予防という名目でスタートしていたという。だが、その物理的な距離は夫婦の精神的な距離を決定的にした。家庭という枠組みに縛られる息苦しさから逃れるように、彼女は自らの居場所を家庭の外へと求め始めていたのだ。