公判の場で明かされた事実の中でも特に衝撃的だったのは、組織委員会幹部と代理店関係者の個人的なラインを通じてビジネスが決定されていったプロセスである。元組織委員会理事である高橋治之被告を巡る一連の公判では、受託収賄罪の成否を巡り生々しいやり取りが暴露された。幹部らの証言によれば、正規の審査手続きは形骸化し、事実上の「鶴の一声」で協賛枠が割り当てられるケースが相次いでいたという。
さらに、当時組織委員会の会長を務めた森喜朗氏をはじめとする政財界の重鎮との接点や、暗黙の了解が意思決定に大きな影響を与えていた点も指摘されている。組織委内部で異論を唱える声はかき消され、特定の企業群に対して破格の優遇措置が与えられた。公的組織の看板を掲げながら、その実態は密室での利権分配の場と化していたのだ。