指名打者とは、英語のDesignated Hitter(デジグネイテッド・ヒッター)の頭文字を取って「DH」と呼ばれる野球の公式ルールです。公認野球規則5.11に定められており、「投手に代わって打席に立つ攻撃専門の選手」をあらかじめスターティングメンバーとして登録できる仕組みを指します。
本来、野球は守備に就く9人の野手がそのまま打順に入り、打撃も行います。しかしDH制を採用する試合では、守備専門の「投手」と、攻撃専門の「指名打者」に役割が明確に分業化されます。これにより、打撃の負担が大きい投手の打席が免除され、代わりに高いバッティング技術を持つスペシャリストがラインナップへ組み込まれることになります。
歴史を紐解くと、メジャーリーグのアメリカン・リーグが1973年に打撃戦によるファン獲得と観客動員増加を目指して初導入しました。日本球界では、パシフィック・リーグが1975年に公式採用して以来、半世紀にわたり独自のダイナミックな野球文化を育んできました。さらに2026年には、長年投手が打席に立っていたMLBのナショナル・リーグでもDH制が全面解禁され、世界のトップリーグにおいて投手が打席に入る光景は急速に姿を消しつつあります。