1982年、歴史的名曲『兄弟船』で鮮烈なデビューを果たした鳥羽一郎。続いて『男の港』などのヒット曲を連発し、瞬く間にNHK紅白歌合戦の常連へと上り詰めた。しかし、ブレイクまでの道のりは決して平坦ではなかった。
ヒット作に恵まれる前の下積み期、家計を守り、不安を抱える夫を鼓舞し続けたのは妻の献身だった。自宅では仕事の愚痴を一切言わない夫に対し、好きな手料理を用意し、穏やかな安らぎの場を提供することに徹したという。愛する家族が待つ家という絶対的な居場所があったからこそ、彼は大海原の如き力強い歌声を全国に届け続けることができたのだ。