神戸らんぷ亭が終焉へと向かう決定打となったのが、2010年代半ばに実行されたM&Aでした。ダイエーグループを離脱後、投資ファンドや関連会社の手を経て、2014年にカラオケ店や飲食店を急拡大させていた「株式会社ガーデン」の傘下に入ることになります。
報道各社(J-CASTニュース等)の当時の取材記録によると、買収当時、神戸らんぷ亭の店舗はすでに約20店舗前後にまで縮小していました。新体制となった運営会社は、末広町店や田町店などで「かつ丼屋」へのリニューアルやメニュー刷新などの実験を試みたものの、最終的に下された結論はドラスティックな「業態完全転換」でした。
ガーデンが注力していた主力ブランドは、当時急速に店舗網を広げていた「横浜家系ラーメン 壱角家」でした。牛丼店の客単価が400円〜500円程度にとどまるのに対し、家系ラーメンはトッピングやサイドメニューを組み合わせることで客単価800円〜1,000円超を狙えます。駅前の一等地を牛丼で維持するよりも、同一の厨房設備やカウンター配置を活かしてラーメン店へ転換する方が、坪効率・収益性ともに圧倒的に高いという判断でした。
2015年夏、JR総武線の高架下にあった「末広町店」をはじめとする主要店舗が次々と壱角家へと看板を掛け替え、公式ホームページの店舗リストからも牛丼店舗が消滅。大々的な閉店セレモニーや告知もなく、「最後の一店舗」がひっそりと暖簾を下ろしたことで、四半世紀にわたる神戸らんぷ亭の歴史は静かに幕を閉じました。