王国の崩壊は、2001年に日本を襲った狂牛病(BSE)危機から始まった。当時、農林水産省は国産牛肉の安全性をアピールし暴落を防ぐため、全頭検査前の国産牛肉を税金で買い取る緊急対策事業を発足させた。しかし、この税金投入事業こそが、巨額の不正を生む温床となった。
ハンナン傘下の関連会社は、輸入牛肉や対象外の肉を「国産牛肉」と偽り、買い取り事業の申請を行って莫大な国庫補助金を騙し取った。偽装の手口は緻密かつ大胆で、組織的な偽装工作が白日の下にさらされることとなる。検察の牙城である東京地検特捜部が本格的な捜査に乗り出し、ついに事件の首謀者としてドンの身柄を拘束。日本の食肉行政と政界の裏に潜んでいた巨大な不正の構図が、捜査の手によって暴かれた瞬間だった。