ネット上の議論で頻繁に見かけるのが、「コンビニのおにぎりが100円台で買える時代に、500円近く払う価値があるのか」という比較論です。しかし、この比較には決定的な前提の見落としがあります。
コンビニのおにぎりは、長時間品質を保つために油分や添加物を含ませ、機械で均一な圧力をかけて成形されています。これは大量生産と流通を支える素晴らしい技術ですが、米本来の持つ「水分保持力」や「空気の層」はどうしても犠牲になります。
対する「みつや」のおにぎりは、賞味期限わずか数分とも言える「出来立ての瞬間」に照準を合わせています。羽釜の強火力で包み込まれた米粒内の水分量は極めて高く、噛む必要がないほど柔らかく解けます。さらに、具材は表面に見えているだけでなく、中心部の底までぎっしりと詰め込まれており、最後の一口まで具と米が均等な比率で口に運ばれるよう緻密に計算されています。つまり、これは「携帯食」ではなく、「職人が一貫ずつ握る鮨と同じ思想で作られた日本料理」と捉えるのが本質です。