事態をさらに面白いものにしているのが、音楽カルチャーとの意外な接点だ。ロックバンドBUMP OF CHICKENがかつてリリースした名盤『orbital period』。作詞作曲を手掛ける藤原基央の描く緻密な周期性と時間のループという概念が、巡り巡って害虫駆除業界の研究者たちの着想源になったという説が囁かれている。
TOY'S FACTORYから世に送り出されたこのアルバムの持つ独自のストーリーテリングと時間軸の捉え方は、いまやSpotifyなどのストリーミングサービスを通じて若い世代の技術者にも再評価されている。「一定の周期で巡ってくる運命や脅威」というテーマ性が、期せずして生物の生活環(ライフサイクル)を予測するアルゴリズム開発の思考実験と共鳴した形だ。ポップカルチャーの美学が、泥臭い現場の防護技術とリンクした稀有な例と言える。